「付き添い支援」は利用者の健康に役立つのか?

「公的扶助研究 第267号」連載:「健康管理支援事業」を考える 掲載記事を紹介します。

今回は「付き添い支援」について、考えていきます。

「付き添い支援」とは、困難を抱える人にとって必要な支援を受けるためのコーディネートをしたり、支援現場におけるニーズを代弁したり、受けた支援に関して理解を助けたりする伴走的な同行者による支援です。(日本老年医学的評価研究機構, 2019.)

国内には医療への付き添い支援と考えられる「同行受診」があり、いくつかのパターンが存在します。

①公的サービスによる送迎支援(介護保険など)

②私的サービスによる送迎・受診手続き支援(企業など)

③ボランティア団体などによる送迎・受診手続き支援・診察同席

④フォーマルケアの担当者による受診支援・診察同席(ケースワーカー、保健師、介護支援専門員など)です。

③のボランティア団体などによる支援は、受診者や地域の生活をよく知る支援者が診察室まで同席しているケースが多いとの報告もあり、利用者にとって貴重な資源となり得ますが、経済的・人的な持続可能性の課題があるほか、地域によるばらつきがみられます。

④のフォーマルケアの担当者による支援に関しては、利用者の生活を熟知した担当者が対応できるケースが多いですが、業務指針に明記されていない対応になる場合もあり、行政や事業所の裁量次第という課題もあります。さらに全ての住民に対応するには行政の担当者のみではマンパワーが不足しがちです。

そのため、ボランティア・公的機関の各部署との連携と、支援対象者の効果的な抽出が必要です。それぞれの専門職には得意分野や役割があるため、お互いの役割を理解・尊重し重層的な支援体制を創っていくことが重要となります。

では、付き添い支援におけるケースワーカーの役割は何でしょうか。
業務量の多いケースワーカーがすべての利用者に付き添い支援を行うことは現実的ではありません。

担当ケースワーカーである「あなた」しかつながりがない、「あなた」しか頼れない、「あなた」しか資源がない利用者の為に、必要な付き添い支援に集中できることが理想です。

孤立は命と密接にかかわっています。伴走的に付き添い支援を行うことで、利用者と「あなた」のか細い糸のようなつながりを紡いで太くし、さらに利用者のニーズに応じた新たなつながりを創っていってほしいと思います。

厚生労働省チャンネルで、福祉事務所のケースワーカーの方々限定で関連する講義動画を紹介していますのでぜひ!

西岡 大輔(にしおか だいすけ)