「公的扶助研究 第263号」掲載記事を紹介します

「公的扶助研究 第263号」では、生活保護利用世帯の子どもの健康状態やその支援方法などに関する研究データを紹介しています。

子どもの支援は社会全体で取り組むべき課題として重要視されています。子どもの頃の健康状態が、子ども期の学習状況や成人期の労働、将来の健康に影響を及ぼすことが知られているからです。生活保護に関しては、生活保護の利用における世代間連鎖も挙げられます。

子どもの健康に関して、生活保護を利用している世帯の子どもの医療機関への受診行動を、自治体のデータを用いて紐解いていくと下記の可能性が示唆されました。(Nisioka D, et al. BMC Pediatr. 2021)

〇ひとり親世帯の子どもが医療機関への受診につながりやすい可能性

〇ひとり親世帯で子どもの慢性疾患が多い可能性

これらの可能性には幾つかの要因が考えられます。ひとり親世帯では、子どもの健康状態の変化に気づきやすく適切な受診行動や予防行動をとっている可能性、またひとり親世帯では生活全般について支援ニーズが高いと認識され、さまざまな部署や地域の支援団体と関わる中で受診に結びついている可能性。

慢性疾患は心理的なストレスに関連する病気でもあるため、親がひとりで仕事・家事・子育てに孤軍奮闘する中で、子どものストレスが生じ慢性疾患が多くなるというメカニズムも考えられます。

しかしこれらはデータから解釈できる範囲での推測に過ぎません。また本研究でのひとり親世帯はほぼ母子世帯のデータであり、父子世帯はごく一部でした。より実態を明らかにしていくためには、もっと多くの情報が必要です。

それらの重要な情報は現場にあります。しかし福祉事務所では、世帯主や成人へのケースワーク実践が多くなり、子どもと直接面談したりその生活状況を聴取する機会はあまりありません。

子どもへの健康支援は、その効果がすぐには見えづらいですが、子どもの健やかな成長だけではなく、その親の就労促進、子どもの豊かな生活の支援や生活保護利用の世代間連鎖を断ち切る取り組みにつながっていきます。ぜひ数少ないチャンスを生かして子どもの健康にも目を向け、健康支援を進めてほしいと思います。

西岡 大輔(にしおか だいすけ)

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