2022年8月9日、社会的処方推進セミナー「withコロナのつながり・コミュニティづくり」にて「『社会的処方』を知って、対応力を豊かにしよう ~目の前に現れる住民は、数々の障壁を乗り越えられた人」というテーマで講演を行いました。
健やかで豊かな暮らしのために、世界保健機関が推奨している3つの事柄の中に「生活環境の改善」が含まれます。地域で社会環境を整えることは豊かな暮らしに繋がります。
そのための重要なトピックスが「社会的孤立」です。
過去の研究において、孤立はタバコと同等の悪影響を及ぼすこと、人との交流頻度が乏しい人は、要介護認定に至りやすいとの結果が示唆されています。また、「運動」「食事」についても一人で行うよりもグループで行った方が、介護予防には効果的との結果が示されました。
では社会的孤立にどのように対応していけるでしょうか。
医療機関は、地域福祉の発見・アウトリーチの場の一つです。市役所も同様です。
医療機関でも市役所でも、目の前に現れる人はさまざまな障壁を乗り越えた人です。しかし相談窓口でスティグマが発生してしまう恐れもあります。支援現場で発生した差別は強化されてしまいます。私たちが、閉じこもり・孤立を助長してしまっているかもしれません。
目の前の人は、「障壁」を乗り越えて私たちまで到達してくれた人です。「弱み」を見せる覚悟で相談してくれた人です。目の前の人を精一杯大切にしてほしいと思います。
貧困や孤立という困難は、複合的に多くの背景が絡み合っており、一要因を解消すればよいわけではありません。また困りごとを抱えている人は、認知・行動面での困難もあります。
私たちからみて不合理な「声」や「行動」の裏には、真のニーズが潜んでいます。日々出会う不合理さや理不尽さをアンテナにし、私たちに何ができるのか考えていきましょう。
あなたと紡いだ糸が太くなり、ネットワークを織りなすことで、長期的な支援に繋がっていきます☻
西岡 大輔(にしおか だいすけ)