「公的扶助研究 第264号」掲載記事を紹介します

「公的扶助研究 第264号」では、歯の健康についての分析結果を紹介しています。

2自治体で生活保護を利用している世帯の住民データと医療扶助レセプトデータを結合したデータを用いた分析結果を紹介します。だいたい4人に1人の利用者が歯科に定期的に通院しており、歯科に定期的に通院していない残りの利用者のうち5人に1人の利用者が、歯科への新規受診をしていました。

また個人の背景要因と歯科受診行動の関連を検証した結果、「女性」「就労者」「外国籍」「精神障害の認定がある者」では歯科に受診しやすいことがわかりました。(Nishioka D, et al. Int J Equity Health.2021)

これらの結果の背景にはさまざまな要因が考えられますが、生活保護により最低生活や医療機関への経済的なアクセスが保障されていたとしても、利用者の個々の非経済的な社会背景要因による歯科受診の格差が生じているといえます。

生活困窮者ほど歯の病気を抱えやすいことを考慮すると、歯科に受診できていることは好ましいことです。適切な治療につながるきっかけがあるといえます。反対に、受診歴のない利用者では、必要とされる歯科サービスが行き届いていない可能性に注目することが必要です。

そこで現場のケースワーカーによる伴走的な援助方針が活きてきます。

日々の訪問時や新規の相談時に歯の状態を気にかけてみてください。歯の健康のニーズに利用者自身が気づき、歯科への受診につながるような日々の伴走的な支援を進めていただければ幸いです。

また、成人でみられた歯科受診の社会的な格差は、小児でもみられます。

ひとり親世帯では適切に歯科受診できている一方で、そうでない世帯(高齢者世帯、障害・傷病者世帯、その他の世帯)の子どもでは歯科への受診に至りにくい可能性があることがわかってきました。(未発表論文.第124回日本小児科学会学術集会発表より)

本当に必要がないのか、受診したくてもできていないのか、歯科受診のニーズの認識に至っていないのか…様々な理由が考えられます。ぜひそれがなぜなのかを担当するケースの子どもを思い浮かべながら考え、「子どもの歯科受診を促す」のような援助方針を立てることを検討して頂きたいです。

福祉事務所のケースワーカーの援助が、子どもたちの将来の健康な生活を促進し、貧困の連鎖を断ち切ることにわずかながら貢献できるはずです!

西岡 大輔(にしおか だいすけ)

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