日々のケースワークは健康支援につながっている

「生活と福祉」掲載記事を紹介します。

生活と福祉の11月号に、厚生労働省の全国ケースワーカー研修会でお話した内容をまとめた記事が公開されました。生活保護利用者の健康支援のためにケースワーカーにとって重要なことをお伝えしました。

特に、本ブログでも繰り返して出てきているように、「貧困」の状態は、物や金銭がないことのみを示すのではありません。その人が社会の中で排除されていることや、権利を行使できない状態や声をあげることが難しい状態も貧困の概念に含まれます。生活保護利用者では、複合的な困窮や困難、社会からの排除を経験して、今に至っていることを踏まえることが重要になります。

医療機関や健診を受診するためには、数々の障壁があることが知られています。利用者が医療機関を受診し、健康への投資を得るには、このような障壁の除去(低減)の支援が求められます。

ケースワーカーに求められるのは「健康」そのものの指導ではありません。利用者が「能力」を発揮できるような支援と、利用者にとっての医療への障壁を低くする支援です。必要な時に、必要な資源にアクセスできて、自分で必要な援助を求められるよう日々の関わりを構築していくことが、利用者の自立への支援にもつながっていきます。利用者の複合的な困難を考慮すれば、ケースワーカーひとりひとりが、利用者にとっての唯一のつながりであり、唯一の社会資源かもしれません。

ケースワーカーの皆さんが、その方の医療にかかる経験を聴き、受診等に向けての障壁を除去するための支援ができれば、そのケースワークは健康支援につながっていくことになります。生活支援を通じた健康支援を、ぜひ進めていただけたらと思います。

ケースワーカーのみなさんに出会ったことで、利用者の健康支援はすでに実践されています。
何より、あなたに出会えたから救われた利用者がいます。」

私から伝えたい最も大事なメッセージです。

西岡 大輔(にしおか だいすけ)