【論文】地域社会環境と生活保護利用者の服薬数との関連を検証した論文が公開されました

Kasahara M, Kawachi H, Ueno, K, et al (Last author & Correspondence). Community-level social capital and polypharmacy among public assistance recipients in Japan: A multilevel cross-sectional study. SSM-Population Health, 2025.101788.

年度末の研究者の仕事は、研究費等の会計管理と報告書類に没頭する毎日です。このリズム感も独特だなぁと感じます。計画性、苦手ですが研究者にとってとても大事なスキルです。

さて年度末、論文が新たに受理公開されました! 国際医療福祉大学の大学院生、笠原さんの力作です。計画立案から出版まで、伴走することができ、このように形になったこと指導者として喜ばしく思います。

高齢福祉に関する課のデータから算出した居住地域の市民参加の程度、信頼などの社会的凝集性の程度、住民同士の助け合いの程度といった側面から測定される地域のソーシャルキャピタルの豊かさを、生活保護利用者の居住区のデータと紐付け、生活保護利用者の服薬数に関連するかを検証した論文です。

こちらは共同研究している豊中市における部署間を超える貴重なデータを統合し検証した論文シリーズの第1弾になります。

高齢者の参加が豊かな地域ほど、その地域に住む生活保護利用者の多剤服薬者が減少する傾向が見られ、一方で社会的凝集性の規範が強い地域ほど(地域の信頼が強すぎる地域ほど)、生活保護利用者の多剤服薬者が増える傾向がある結果でした(図)。

地域への参加のしやすさと、排除の受けやすさが、利用者の受療行動や服薬にどのように影響しうるかを描写できた研究になりました。

今後も公開が予定されている論文があるなど、SHeqLab.としての学術活動も加速しています。4月には喜ばしい報告がまたできる予定です!
今後も活動をフォローしていただけましたら、仲間を増やせたら幸いです😊

西岡 大輔(にしおか だいすけ)