西岡は、生活困窮者の健康支援に関して研究していますが、医療にアクセスするまでの物理的な障壁がある、中山間地の医療にも従事しています。個人と地域の健康に責任をもつ家庭医として、住民のみなさんひとりひとり、その家族、地域に焦点を当てて、健康・疾病の最適化だけでなく、暮らしの最適化を目指しています。患者さんひとりひとりの境遇、個人や地域の価値観といった文脈(Context)を大切にしています。
健康(Health)からウェルビーイング(Well-being)へ
近年、人々の健康(Health)だけでなく、ウェルビーイング(Well-being)を支える視点が注目されるようになっています。ウェルビーイングは健康だけでなく、幸福度や生活満足度、それらと密接に関連する自己実現や生きがいなども包含している概念です。
これまで医療は個人の疾病リスクを最小限にし、個人の健康増進・疾病管理を最適化するような支援を行ってきました。しかし、時代の変化とともに、人々は複数の疾病に罹患しながらも多彩な社会的な役割を担うことが求められるようになりました。そのため現代の医療には、疾病の治療だけでなく患者個人が病気を抱えながらも役割を遂行し、生活満足度の高い暮らしを送ることができるようにケア・支援することが求められます。
診療で心掛けていること
・個人が創意工夫し、病いを抱えながら日々の生活を送る姿(Creative Self)がイメージできるように、診察室内外でのみなさんの話をよく聞き、立ち居振る舞いを観察しています。
・暮らしに潜む病気のリスク(病因:Pathogenesis)に加え、健康の秘訣(健康因:Salutogenesis)を理解するために、一見病気とは関係のない話もよく聴くにようにしています。
・自分の行為は本当に患者さんや地域のために役に立っていたのか?を常に省察(せいさつ)しています(Reflection)。人々の健康・ウェルビーイングのために、自分の学びや知識、組織の環境や風土づくりは適切か?などを振り返って研鑽しています。
・人々が診療所を受診するためにはたくさんの障壁があります。誰かが診療所に受診したいと思ったときの障壁が低くなるよう、自らを地域に開示して診療所へのハードルを下げることを大切にしています。
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