研究業績(学会発表)

直近5年間(2021年度から)の学会発表の表題・要旨を紹介しています。関心のある演題がありましたら、お問い合わせください。

2025

1月 貧困研究会第17回研究大会(那覇)
西岡大輔,他.「社会調査における貧困集団の代表性の検証:日常生活圏域ニーズ調査データの応用」

抄録

市民のニーズを把握しエビデンスに基づいた政策を立案するために社会調査は不可欠だが、回答率は低下傾向にある。調査の回答率は市民の社会背景によって異なるが、貧困状態にある市民の声がどの程度反映されているのかは検証されていない。本研究では、A市の複数部署のデータを個人単位で連結することで、回答率が個人の経済状況によって異なるかを検証した。A市で日常生活圏域ニーズ調査の対象となった高齢者の介護保険料区分、生活保護台帳、調査への回答を個人単位で連結した。調査対象者6,150人のうち、回答があったのは3,326人で(回答率54.1%)、生活保護利用者は162名のうち79名が回答していた(回答率48.8%)。回答の有無を目的変数とした多変量ポアソン回帰分析の結果、課税世帯を1とした場合に生活保護世帯の回答率比は0.85(95%信頼区間:0.72-1.01 p=0.06)と非課税世帯の回答率比は0.94(95%信頼区間:0.94-0.99 p=0.03)と回答が得られていない傾向があった。生活保護利用者に限定した場合には、独居の利用者の方が同居者のいる利用者よりも回答していた(回答率比1.48、95%信頼区間:1.02-2.13 p=0.04)。高齢者を対象にした社会調査では、生活保護利用者(特に同居者のいる利用者)や住民税非課税の者といった貧困集団の声が届きにくい。より正確に市民全体のニーズを把握するためには、貧困状態にある人に対する追加調査の実施やサンプリング・分析の重みづけなど、貧困集団の調査の代表性を担保する必要性が示唆された。

他1件. 

2024

11月 30th International Conference on Health Promoting Hospitals and Health Services (Hiroshima)
Nishioka D, et al. ”Survival time disparities after palliative care use among low-income patients on social welfare programs: A retrospective cohort study”

他2件.

10月 第83回日本公衆衛生学会総会(札幌)
西岡大輔,他.「地域のソーシャルキャピタルと生活保護利用者の受療行動:属性による異質性検証」(優秀演題賞受賞)
西岡大輔.「生活保護利用者の健康・生活支援の可能性と課題:社会福祉推進事業および厚生労働特別研究事業の成果より」

7月 第6回日本在宅医療連合学会大会(千葉)
西岡大輔,他.「在宅療養支援診療所における医療ソーシャルワーカーの実態:2021年度勇美財団助成研究(1)」

6月 第72回公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会全国大会(大分)
西岡大輔「無料低額診療は生活困窮者の受診控えを緩和できるか?~レジストリ研究の分析より~」

6月 第15回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(浜松)
西岡大輔,他.「生活保護利用世帯の子どもの入院経験に関連する要因:混合研究法による探究」(日野原賞受賞)

2月 第34回日本疫学会学術総会(大津)
西岡大輔,他.「高齢被保護者における社会調査の妥当性と代表性:(誰の声が取り残されているのか?)生活保護-JAGES結合データを用いた検証」

2023

10月 第82回日本公衆衛生学会総会(つくば)
西岡大輔,他.「被保護者の頻回受診に関連する地域環境要因:生活保護-JAGES連結データの試み」

6月 第71回公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会全国大会(江東区)
西岡大輔,他.「がん患者による社会福祉制度の利用と緩和ケア受療状況との関連:生存分析」

5月 第14回日本プライマリ・ケア連合学会(名古屋)
西岡大輔,他.「在宅療養支援診療所における医療ソーシャルワーカーの配置と相談支援・連携業務の実態:横断研究」

2022

10月 貧困研究会 第15回研究大会(佐久)
西岡大輔「生活保護利用者における時間貧困と喘息による予定外受診の関連〜世帯構成と就労状況に注目して〜」

6月 第13回日本プライマリ・ケア連合学会(横浜)
西岡大輔「保健・消防データを用いた、山間部へき地の救急搬送発生の地域差美山町スタディ」

1月 第32回日本疫学会学術総会(オンデマンド)
西岡大輔,他.「生活保護利用世帯の子どもの社会背景要因による歯科受診の格差に関する研究」

2021

11月 第80回日本公衆衛生学会総会(オンデマンド)
西岡大輔,他.「生活保護利用世帯への給付額減少が世帯医療費に与える影響:準実験研究」

5月 第12回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(オンデマンド)
西岡大輔,他.「COVID-19がもたらした健康格差とその社会的要因」

4月 第124回日本小児科学会学術集会(京都)
西岡大輔「生活保護受給世帯の子どもの社会背景要因による口腔の健康格差」