第124回日本小児科学会学術集会がオンラインで開催されました。
「虐待・貧困・社会的養護」のセッションで、「生活保護受給世帯の子どもの社会背景要因による口腔の健康格差」という表題の発表を行いました。(本研究は今後国際誌の査読を受ける予定です。査読による修正を経て結果に変更が生じる可能性があります。)
本研究は、先日出版された生活保護利用世帯の子どもの健康状態に関する研究が、健康状態が良くなく症状が出たために受診しているのか、予防や治療のために定期的に受診しているのかが明らかにできないという限界がありました。
そこで今回は歯科受診に絞って、定期通院していると考えられる子どもを分析対象から除外して追加分析しました。
すると、ひとり親世帯と新規受診行動に関連がみられました。ひとり親世帯では、実際に健康状態が良くない可能性があり受診に至りやすい可能性がありました(図)。
一方で、受診できていないひとり親世帯以外の子どもで歯の健康状態が良いというわけではありません。歯の健康状態が良くないのに何らかの障壁があり受診できておらず、ケアが行き届いていない可能性もあります。
生活保護利用世帯に限った話ではありませんが、私たちの目の前にいる子どもたちの歯の健康状態を気遣い、受診がない人を定期的な受診に繋げていくような地域の取り組みも重要です。
本演題発表には多くの先生方に質問やコメントを賜りました。今後も小児科の先生方にもご指導をいただきながら研究を進めてまいります。論文化されましたら改めて内容をご紹介します!
西岡大輔(にしおか だいすけ)