「公的扶助研究 第261号」掲載記事を紹介します

生活保護利用者の健康や健康行動に関する日本語の資料を読みたいというリクエストを多くいただいたことから、「公的扶助研究 第261号」以降連載している「健康管理支援事業を考える」の内容を随時紹介していきます。

被保護者健康管理支援事業においては、健康と生活の両面における支援や被保護者の生活習慣病の発症予防、重症化予防などの推進が求められていますが、その業務内容や課題は多く、対象者も多いため優先的に具体的な支援の対象者を絞り込むことが必要です。ところが、利用者をはじめとする生活に困窮している人々は様々な理由から国民一般を対象とするような調査には参加しづらく、これまでの国の調査などから得られる知見が当てはまらない可能性もあります。

そこで2つの自治体の福祉事務所のデータを分析し、利用者の健康状態に関連する要因を分析しました。

結果、主に3つのことが明らかとなりました。

1:若年成人では、ひとり暮らしの利用者や就労していない利用者で、そうでない利用者よりも糖尿病の新規診断者の割合が高い (Nishioka D et al. J Diabetes Investig. 2021)

2:ひとり親世帯の子どもでは、それ以外の世帯の場合に比べて、ぜんそく、アレルギー、歯の病気といった慢性疾患による受診が多い(Nishioka et al. BMC Pediatr. 2021)

3:成人では、ひとり暮らしの利用者や就労していない利用者で頻回受診を経験しやすい(Nishioka D et al. BMJ Open.2020)

これらは、最低限度の生活や医療へのアクセスが経済的に保証されていても、個人の社会的な要因によって健康や健康行動に格差が生じている可能性を示唆しており、被保護者健康管理支援事業を進めるにあたっては、その社会的な要因に配慮した支援計画が必要です。

さらに、生活保護利用者の健康支援においては、

1:20歳代の若年層からの健康管理支援

2:社会生活支援とその健康管理支援の一体的実施

3:データを積極的に活用する

4:多様な組織を巻き込んだ地域ガバナンス体制の構築

が重要であることもお伝えしています。ご関心のある方はどうぞ雑誌をご覧ください!

西岡 大輔(にしおか だいすけ)

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