研究にトライ!最終回研究成果の発表

西岡大輔.研究にトライ! 医療介護の現場の疑問を研究して患者のケアに役立てよう(最終回) 研究成果の発表.民医連医療.2023;(608):48-9. から内容を抜粋してお届けします。

最終回は、研究成果の発表についてです。研究は、研究者が内容を発表し、内容に関する議論を行い、その成果を多くの人と共有することで、ようやく成果が目の前で出会った患者やその背景にいる患者集団に還元されていきます。

発表の方法

発表の方法には、大きく分けて2つの種類があります。学会や研究会等での演題発表と、その成果を体系的にまとめた論文です。

学会や研究会での演題発表

演題発表は、まずはその演題を登録するステップが必要です。その演題は、学会や研究会の事務局で、その会での発表にふさわしいかどうかを審査されます。審査の結果、演題が採択されれば、発表の機会が与えられるというしくみです。発表には、大きく分けて口演(オーラル)とポスターの2種類があります。

学会発表は自分の研究を伝える場としてとても重要ですが、前提として同じ関心を持った人が集まる閉ざされた場所で限られた人数で議論するものです。そのため、研究の情報を真に必要としている人や潜在的に役に立つ人に届きません。この点を克服できる可能性があるのが、論文です。

研究論文が雑誌に掲載され発行されるまでには、多くの場合審査のプロセスがあります。投稿する雑誌を選択し、雑誌の規定にしたがって作成した論文を投稿し、専門家による査読が行われます。たいていの場合、研究者は査読コメントを踏まえた論文の修正を行います。修正が多い場合や不十分な場合には、このプロセスを何度も繰り返し、掲載に値する場合に雑誌の編集委員会で受理されます。

研究発表でおさえておくべき「型」

研究の発表・報告には守るべき作法が知られ、ガイドラインが制定されています(介入研究のCONSORT、観察研究のSTROBE、症例報告のCARE など)。研究発表は、口演・ポスター・論文のどのカテゴリーでも「背景」「方法」「結果」「考察」の順で報告することが一般的です。

さいごに

5回に分けて、研究をする上での心構え、計画の立て方、調査の実施方法、成果の発表方法など、研究を始めたい人にとっての道筋を簡単にご紹介しました。初めての場合、わからないことも多いと思います。なにか研究を実施したい、という場合には、ぜひご連絡いただけましたら幸いです!

西岡 大輔 (にしおか だいすけ)