研究にトライ!第4回調査票(アンケート) のつくり方

西岡大輔.研究にトライ! 医療介護の現場の疑問を研究して患者のケアに役立てよう(第4回) 調査票(アンケート)のつくり方.民医連医療.2023;(607):56-7. から内容を抜粋してお届けします。

第4回は、調査票(アンケート)のつくり方の基本です。

調査票を用いた調査は効率よく、患者の情報を収集・集計できるためよく利用されます。しかし、そのつくり方に注意が必要なことはご存知でしょうか。

なぜなら、調査票のつくり方によって、収集データの結果が大きく変化する(させられる)可能性があるからです。私たちの研究において調査票を使用する際には、最新の注意を払ってその内容を検討することが大切です。

まず前提として、調査票を用いた研究では「この調査に回答しないと希望するサービスを受けることができないのではないか」と回答者に思わせない心配りが重要です。そのためには、研究に関しての丁寧な説明と同意取得のプロセスが必須です。

調査票作成時に押さえておきたい基本的な事項の代表的なものの例を挙げてみましょう。

・簡単な質問(一般的な質問や回答しやすい質問)を前半に配置する。

・所得などプライバシーにかかわる応えにくい質問は後半に配置する。

・回答選択式の質問を先に配置し、自由回答式に質問を後半に配置する。

設問数が30問を超えると、回答が適当になることも指摘されています。そのため、適量を検討することが肝心です。

調査票を作成したら、その回収方法も丁寧に検討する必要があります。

匿名の調査にするのかどうか、聞き取り調査なのか郵送調査なのか、インターネットで調査するのかなど、調査方法の選択や、収集したデータを誰がどのように入力するのかも重要です。

世の中の情報をズレなく(バイアスなく)、うまく反映できている調査は妥当性が高い調査です。
繰り返し調査した時に、回答がばらつきにくい調査は信頼性の高い調査です。

これらの妥当性や信頼性を高める工夫がとても大切です。研究者や経験が豊富な人などと協力することが近道になるでしょう。

西岡 大輔(にしおか だいすけ)