日本国内における生活保護利用者や生活困窮者に対する健康・食生活支援の現状を分析した研究報告が公開・出版されました。生活保護法の被保護者健康管理支援事業や、生活困窮者自立支援法の健康の視点の追加など、生活に困窮している人々の健康支援が政策的にも注目されるようになっている現代社会において、支援に携わりうる機関である全国の福祉事務所および社会福祉協議会の取組実態を調査しました。その調査データを、新潟県立大学の大学院生の方がまとめてくれました!その結果を紹介します。

• 初期把握の限定性: 初回面談での体調や通院状況の確認は概ね行われているが、健康診断の受診状況や具体的な食・生活習慣等の把握は不十分な現状がありました。
| 確認項目 | 福祉事務所 n=491 | 自立相談支援(社会福祉協議会) n=233 |
|---|---|---|
| 体調について | 92.7% | 94.4% |
| 定期的な通院・服薬状況 | 93.1% | 88.0% |
| 移動手段(自立歩行可能か) | 59.7% | 64.8% |
| 健康診断の受診状況 | 35.8% | 27.0% |
| 食事の回数 | 50.7% | 45.5% |
| 子どもがいる世帯に対して、 子どもの食事状況 | 33.2% | 38.6% |
• アセスメントツールの活用不足: 福祉事務所の半数以上がアセスメントシートを活用しておらず、活用している場合でも食生活に関する項目が欠落しているケースが多い現状もわかりました。
• 連携と支援内容の相関: 福祉事務所や社会福祉協議会が他団体と連携しているほど、食品提供に留まらない具体的な食生活への助言や情報提供を実施している傾向があることもわかりました。
• 組織による連携先の差異: 福祉事務所は保健医療部門との連携に強みを持つ一方、社会福祉協議会はフードバンクや地域住民組織など幅広い民間リソースとの連携に強みを持つこともわかりました。業務上連携先が分かれている可能性があり、連携における障壁を取り除いていくアプローチが地域ごとに求められます。
今後、重層的な支援体制を構築するためには、標準化されたアセスメントツールの導入とそれを用いた初期把握、既存の連携期間を超えて保健医療専門職などを交えた行政内外の連携強化の戦略が必要だと考えられます。
ご関心のある方は、ぜひお読みください!
西岡 大輔(にしおか だいすけ)


