被保護者健康管理支援事業のフェイスシートを提案しました

令和4年度社会福祉推進事業を受託し、「被保護者健康管理支援事業」におけるフェイスシートの標準項目および事業の評価指標を提案しました。全文はこちらからダウンロードできます。

被保護者の健康には、社会生活上の要因が関連していることがさまざまな研究により示されてたことなどを背景に、令和3年(2021)年1月より、福祉事務所がデータに基づいた被保護者の疾病予防や重症化予防等を推進する「被保護者健康管理支援事業」が必須事業として施行されました。

「被保護者健康管理支援事業」においては、福祉事務所のレセプトデータを用いた分析だけでなく、社会生活面の情報を分析した結果に基づく支援が必要であることが指摘されています。そこで、被保護者の社会生活面の状況を聴取する標準的なフェイスシートの項目の案を開発しました。

フェイスシート案の作成にあたっては、福祉事務所の現場担当者へのインタビュー調査と、科学的なエビデンスの検証・エビデンスに基づいた優先順位付けを行い、現場に負担の少ない、科学的な妥当性の高いフェイスシートを提案できるように努めました。

<健診・検診の受診やかかりつけ医の有無、日常的な生活習慣や被保護者のつながり等の社会関係などの内容を含む15項目からなるフェイスシート案>

<被保護者健康管理支援事業の概念図および標準評価項目案>

フェイスシートの活用方法としては、生活保護申請に向けた面談の際に聞き取りし、明らかとなった健康上の支援ニーズに基づき保健医療専門職への紹介の必要性を判断できます。また、定期的に被保護者の健康状態や受診状況、社会生活の状況を把握し、支援対象者の選定や個別の支援方法の検討、支援の効果評価等を行うこともできるでしょう。すでに生活保護を利用している方には、ケースワーカーなどが訪問時に聴取したり、郵送して回答を依頼し訪問時に確認する留め置き法などにより聴取が可能です。

今回は成人の被保護者全体に対して一般的に収集すべき基本的な項目を提案しましたが、被保護者の状況に応じた、より詳細なバージョンの作成も求められます。

西岡 大輔(にしおか だいすけ)