「見えないものを診るケースカンファレンス 〜患者さんを診ることは社会を視ること~」と題して、医療系の学生のみなさん(医学部、薬学部、看護学部)の方々にお話いたしました。
事例を通じて見えてくる、貧困と健康の関係に関して科学的に紹介するとともに、私たちがどのような医療従事者として地域と向き合う必要があるかをお話ししました。
学生さんとのディスカッションは大変鋭い質問ばかりでした。今の多様な社会を生きる学生さんたちは、昔では知ることができなかった世界中のできごとを入手できる情報社会の中に生きています。そのためか、多様な価値観に精通していると感じることが多く、いつも驚かされます。今の若い学生さんたちが将来現場に出る時代の医療の発展に心から期待しています。
資料の一部はこちらからご覧いただけます。
(後日参加いただいた医療系の学生の方々から感想をお寄せいただきました。抜粋してご紹介します。)
“西岡先生のご講演は、今まで学んだことが全て詰まったような内容で、さらに理解が深まりました。患者さんのために勉強するという言葉が非常に心に残りました。社会を知るということの重要性を改めて感じました。今後も授業で出てきたことを活かせるようにしっかりと学んでいきたいと思います。ありがとうございました。 また、みんなの意見が一気に反映されるシステムとてもいいなと思いました。何を思っているのかがリアルタイムで知ることが出来て、吸収することが出来ました。”
“印象的だったのは、「地域・診療現場は100点満点の正解がないからこそ、『根拠』をもって見えないものを診ることが大切」ということ。科学的に社会を捉えられるからこそ、患者さんの背景を想うことができ、おかしいことに声を上げられるのだと思います。医療者として科学の目で捉えること。それを踏まえて「患者さんの心に寄り添いたい」「なんとかしたい」という感情・まっすぐな想いを持つこと、共有できる仲間がいることの大切さがより身に沁みました。ありがとうございました。”
“今回の講演に出たような事例は多少の違いはあれど全国各地の多くの医療機関で聞かれる事例だと思います。また、それぞれ患者さんなりに「健康維持法」があり、医学的に正しいことが患者さんには響かない(聞き入れようとしない)こともたくさんあると思います。医学的な正しさだけでなくその患者さんにどう聞き入れてもらうかのコミュニケーション力も医師や医療関係者には必要なのだと改めて感じました。”
“私が大学生の時(5・6年ほど前)の授業で「所得が低い方々に糖尿病患者が多いのは食事が炭水化物のみ(菓子パンや米など)ということが関係している」と習ったことを思い出しました。同時に、「貧困」という気付けない・すぐ対処するのが難しいものへのストレスも相まって、病気になってもおかしくない生活をせざるを得ないのだと知りました。”