Kawachi H, Nishioka D. Health statuses among people in poverty receiving public assistance in Japan: A Scoping review. JMA Journal. 2024;7(3):301-312.
公的扶助(日本でいう生活保護)の利用者では、健康状態が好ましくないことが国際的な論文の系統的レビューで報告されていましたが、このレビューには日本の知見が反映されていませんでした。日本語で生活保護利用者の健康状態を整理した論文も報告されていますが、こちらは日本語の論文をまとめたものなので、国際誌に掲載されていた情報は反映されていませんでした。そこで、実際に国内で実施された、生活保護利用者の健康状態・行動に関する実証研究を中心にまとめ、今後の課題を抽出した論文を執筆し、JMA Journalで公開されました。
生活保護と健康に関する研究は、生活保護利用をひとつの要因として分析対象としている研究と、生活保護利用者を研究対象集団として分析している研究がありました(生活保護率を地域指標として使っている論文もありますがここでは割愛します)。
生活保護利用者では健康状態・行動がおおむね好ましくない傾向がありましたが、セッティングによっては非利用者と健康状態が大きく変わりないことも報告され、健康に寄与する制度となっている可能性がありました。等しく最低限度の生活が保障されている利用者の中でも、その健康状態・行動に社会的な属性情報による差があることも示されました。
今後、この領域の研究を進めたい人、また生活保護利用者の健康支援に関わる人にとって、ひとつの参照できる資料となると思いますので、ご関心のある方にぜひご覧いただけましたら幸いです。これからも一歩ずつ歩んでいきます。引き続きご支援の程よろしくお願いいたします◡̈*✧
西岡 大輔(にしおか だいすけ)