NEW!【論文】ヤングケアラーがいる世帯の地域資源利用に関する研究が公開されました

新杉知沙, 西岡大輔, 越智真奈美. ヤングケアラーがいる保護者における地域社会資源の利用状況の検討 ―2022年生活と支え合いに関する調査―. 厚生の指標. 2026;73(8):pp.

近年、家族の介護や世話を日常的に担う「ヤングケアラー」の問題が社会的な関心を集めています。しかし、ヤングケアラーを抱える保護者やその世帯が、実際に地域の支援制度や資源をどのくらい利用できているのか、その実態はよくわかっていません。その実態に関する研究成果が2026年8月発行の学術誌『厚生の指標』に掲載されました。新杉さん、おめでとうございます!(無料公開は1年後になります)

全国規模の調査データ(2022年「生活と支え合いに関する調査」)を用いて、18歳未満の子どもがいる世帯における「地域社会資源の利用状況」を明らかにしました。

・ヤングケアラーがいる世帯では、子育て支援制度の活用が進んでいない
調査対象となった世帯のうち、ヤングケアラーがいる世帯は17.2%にのぼりました。 驚くべきことに、ヤングケアラーがいる世帯は、いない世帯に比べて「子育て支援制度(保育所、一時預かり、学童保育など)」を十分に活用できていない傾向があることが示されました。家族の世話で負担が大きいはずの家庭ほど、公的な支援サービスに繋がれていないという逆説的な実態が存在しています。

その例として、子ども食堂を取りあげました。地域のサードプレイスとして注目される子ども食堂については、ヤングケアラーがいる世帯の方が認知度が高かったにも関わらず、実際の利用頻度や利用状況には、差が見られませんでした。

認知はしていても、実際に活用には至っていないというハードル(利用障壁)が存在することが示唆されています。これは私が医療機関や健康資源へのアクセスに関してこれまでお話ししてきた事と重なることです。

地域のさまざまなインフラや資源をきっかけ(入り口)として行政や学校などさまざまな機関がと連携協働し、孤立しがちな家庭を専門的な支援へと適切にナビゲートする仕組みづくりが重要です。子どもたちの未来を守るため、地域社会全体でどのような情報提供や相談体制が作れるか、私たち一人ひとりも考えていく必要があることが示された論文になりました。

以下、GeminiNotebookのインフォグラフィックです。よければご参考ください。

西岡 大輔(にしおか だいすけ)